家賃収入が発生している物件の「価格算定方法」について
一棟アパートや一棟マンションが売りに出されるとき、
「土地の坪単価が〇〇万円で面積が◇◇坪だから土地が~~万円、それに建物の価値が大体△△万円あるから合計★★万円」みたいな価格設定方法は通常いたしません。
先にあげたアパートやマンションのみならず、一戸建て住宅や分譲マンションの一室、商業ビルであっても、家賃が発生している物件は全く違った方法で価格算定を行います。
このような物件を通常、「収益物件」といいます。
収益物件の場合、買う人は買った後の家賃を得たいから買う訳です。
そのため最も重要なポイントは「いくら収入が上がるか」ということになります。よって、家賃収入を基準として価格が設定されてくるのです。
ここで、もう一つ重要になってくるのは「利回り」という基準です。
「利回り」とは価格に対する収入の割合です。
例えば1,000万円の物件で年間家賃収入が100万円であれば、利回りは10%ということになります。
この利回りは物件の構造、築年数、立地、入居率等によって異なってきます。場所がよくて新しくずっと満室が続いている鉄筋コンクリート造の物件と、過疎地で古く空室が目立つ木造の物件では利回りの設定が大きく異なります。
また、構造、築年数、立地条件、入居率等が仮に全く一緒だったとしても、都会にある物件と地方にある物件は利回りが異なってきます。地方よりも都会の方が将来的な空室発生リスクや転売がしにくいリスクが低いと考えられているため、利回りが低くなるのです。
投資家目線に立って、リスクが高ければ利回りも高く、リスクが低ければ利回りも低くなります。(この利回りについては、また別の機会に詳しくお伝えします)。
ここで「収入」と「利回り」というワードが出てきましたが、収益物件は、これに基づいて価格が設定されます。価格=収入÷利回りです。これを収益還元法といいます。
例えば年間家賃収入が100万円で同じだったとしても、Aマンションは利回り10%なので価格が100万円÷10%=1,000万円、Bマンションは利回り5%なので100万円÷5%=2,000万円という感じです。
この利回りですがほとんどの場合、周辺同等物件の取引事例が目安となってくるとお考えください。
多くの場合、周辺の取引事例を基に、不動産業者と物件のオーナー様が売ろうとしている物件の利回りを検討し、それが売却物件価格の重要な要素となってくるというイメージです。
また、「利回り」といっても種類がいろいろあります。多く使われているのは単純に収入を価格で割った「表面利回り」ですが、買う側の目線でいくと重要なのは「NOI利回り(実質利回り)」や「内部収益率(IRR)」などです。
それはまた別の機会に。